焼山寺山峡の遍路みち
焼山寺山峡の遍路みち
十一番札所「藤井寺」から裏山に入ると、谷に沿って苔むした遍路道が続く。次第に傾斜が急になり、眼下に吉野川北岸の街並みや、讃岐山脈が一望できる。長戸庵にさしかかるとなだらかな山道となり、山里の集落が小さく見える。起伏の少ない山道を進むと人里離れた所に柳水庵があり、冷たい谷水が喉を潤してくれる。ヒヨドリやメジロ等の小鳥の声以外何も聞こえない静かな山道が続き、稜線を歩いて行くと突然大杉が現れ、一本杉庵の巨大な大師像が目に入る。十二番札所「焼山寺」の山門周辺の杉並木は、まさに深山幽谷のたたずまいである。
焼山寺山峡の遍路みち(15.6Km)
撮影ポイント
認定証を希望する方は、各コースの定められた撮影ポイントで申請者自身を入れた写真を撮影してください。
近隣の観光SPOT
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柳水庵
藤井寺と焼山寺の中間点、標高500mに位置する仏堂で、飲み水やトイレがある休憩所でもあり、長い山道の疲れをいやせる。本尊は弘法大師で、空海自らが自身の像を刻んで納めたと伝えられている。伝説によると、弘法大師がこの地を訪れたとき、喉の渇きを癒やすため柳の杖で岩を突くと水が湧き出たことから「柳の水」と呼ばれるようになったと言い伝えられている。
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一本杉庵
標高730mの峠にあり、一名浄蓮庵ともいわれる。境内には弘法大師像や弘法大師巡教の際の伝説を伝える杉の名木がある。「左右内の一本杉」の名で知られるこの大木は、弘法大師の手植えだと伝わっており、杉の幹囲は7.7m、樹冠は東西16.1m・南北14.8m、高さ約25mに及ぶ。地上3mから数枝を分けて並立し、樹形は極めて良好である。県指定天然記念物にもなっている。杉の木の下にある弘法大師の銅像は,42段の石段とともに、大正15年京都市の河地幾太郎が建てたものである。
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焼山寺
四国八十八カ所霊場十二番札所であり、焼山寺山の八合目近く標高約700mにある。四国霊場には「遍路ころがし」といわれた札所がいくつかあるが、焼山寺もその一つで、古来から険しい坂道の難所を辿る「修行の霊場」であった。寺は杉の老樹で囲まれ、階段を上って山門に入ると、森厳さが身に感じられる。杉並木は山門一帯に40本、本堂の西南側に15本、さらに本堂から奥の院に至る参道には、およそ100本余の巨杉がうっそうと茂り、いかにも霊域らしい荘厳さをかもしている。
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衛門三郎杖杉庵
焼山寺から1.6kmほど下ったところに建てられたお堂。衛門三郎は、四国遍路の最初の人といわれる。伊予国を治めていた河野家の一族の豪農だった衛門三郎は、弘法大師に対する自らの非道を謝罪するために大師のあとを追って遍路の旅に出て、二十一回目の巡礼中、この地で病に倒れたと伝わる。この旅の伝説は四国遍路の始まりとして広く知られている。杖杉という名は、衛門三郎の墓標代わりに立てられた彼の杖から芽が出て大杉になったことからつけられた。